2011年04月12日

英語の歴史 その5(大母音推移)

中英語と現代英語を分けるものが、大母音推移 (Great Vowel Shift)

これは長母音が組織的に変化した現象で、発音のパラダイムシフトとでもいったらいいのだろう。大体、15世紀から17世紀に掛けて起こった現象で、あっという間に起こったものではない。

具体的には、次のように長母音が変化した。

a: → ei
e: → i:
i: → ai
o: → ou
u: → au

例えば、名前は、
 古英語では nama(ナーマ)
 中英語では name(ナーマ・・・語尾の e は軽く発音されていた)
現代英語では name(ネイム)

というように綴りや音が変化した。

この大母音推移の結果、英語の綴り字の読み方はすごくひねくれたものになってしまった。世界的に見ても、すごい特殊なものになってしまった。

でも、英米人は自分達の綴り字の読み方は普通だと思っている。というか、それしか知らないから、当たり前だろう。

だから、英語を覚えるときには、英語独特の綴り字と発音の規則を覚えないと苦労する。

ローマ字読みでは絶対にダメである。

この英語の綴り字と発音の規則はフォニックス (phonics) という

フォニックスについては、そのうちに、色々と説明したいと思う。
posted by weyrod at 23:24| 歴史 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年04月08日

英語の歴史 その4(ノルマン人の征服)

古英語はドイツ語の親戚だというのはすぐ分かるようなものだった。

例えば、文法性(男性、女性、中性)があったり、格変化(I--my--me などの様な変化のこと)が全ての名詞と形容詞にあったりとか。

ところが、1066年に英語史上の大事件が起こった。それが the Norman Conquest(ノルマン人の征服)。要は、イギリスがフランスの領主に征服されてしまったのである。

すると、フランス語から大量の単語が入ってきた。その結果、元々英語にあった単語がどんどん使われなくなるようになって、今では英語の語彙の約半分はラテン語系(ラテン語はフランス語の先祖)の単語になってしまった。

それから、新たに入ってきた単語のために、意味が変わってしまった単語もある。

また、格変化もほとんど無くなってしまったり、文法性が無くなったりとかした。

言語の変化がはっきりと現れるには少し時間がかかるので、一般には1066年ではなくて、1100年が一つの区切りとされている。そして、1100年以降の英語をMiddle English(中英語)と呼んでいる。中世英語ではない。

Old English(古英語)も Middle English(中英語)も中世に属している。でも、この二つを合わせて中世英語と言うことはまずない。まれに Early English(初期英語)と言ったりすることはあるけれど。

古英語と中英語は特徴が違いすぎるので、普通は別々に扱う。

最後に、中英語の文学作品の例を挙げると、初期の頃のでは、トールキン (Tolkien) が研究していた Ancrene Wisse (アンクレーネ・ウィッセ)。
一般には、チョーサー (Chaucer)のカンタベリー物語 (Canterbury Tales) が有名。
posted by weyrod at 23:18| 歴史 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年04月07日

英語の歴史 その3(古代英語 or 古英語?)

ゲルマン基語(または祖語)は次の三つの語派に分かれた。

・North Germanic (北ゲルマン語派)
・East Germanic(東ゲルマン語派)
・West Germanic(西ゲルマン語派)

北ゲルマン語派には、スウェーデン語、ノルウェー語、デンマーク語、アイスランド語という北欧の言語が属している。

東ゲルマン語派は今では消滅してしまった。

西ゲルマン語派には、英語やドイツ語が属している。

さて、ようやく英語の時代になった。この一番古い頃の英語は Old English と呼ばれていて、
年代としては大体450-1100年くらい。で、この Old English は「古代英語」と訳されていたこともあったのだが、
今では「古英語」というのが普通。歴史的には中世に属するから。

この「古代英語」という言葉の普及に貢献した思われる市河三喜の「古代・中世英語初歩」(研究者)という本も、
1986年には「古英語・中英語初歩」という題名で改訂版が出されている。

ここで、「中世英語」→「中英語」となっていることにも注目。

古英語の代表的な作品というと、Beowulf
大体8世紀くらいの作品といわれている。
この話の筋とは全く関係が無い「ベオウルフ」というSFアクション映画があったから、
名前ぐらいは聞いたことがある人がいるかもね。
posted by weyrod at 22:43| 歴史 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
非実用英語の泉」の先頭へ
×

この広告は90日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。